読んだり食べたりした記録

旧ブログ「おやつ、読書・・・ときどきバレエのこと。」

原田マハ 「楽園のカンヴァス」

ずいぶん前に人から勧められていた小説。
やっと読めました。

名画と画家にまつわる謎解きということで、アクション・シーンのない「ダヴィンチ・コード」のような。
プロローグとエピローグは(私と同年代の)日本人女性の視点で描かれていて、この女性は地味で平凡な女性で、実はすごい人なんだけども、親近感がわくというか興味をそそられるというか。
それ以外の部分はMOMA学芸員(キュレーター)、ティム・ブラウンの視点でスリリングに。
そしてさらに劇中劇ならぬ、物語の中でもう一つの謎めいた物語を読んでいく構成になっています。
複雑そうですが、読んでいく分には難しくないです。むしろ物語に引き込まれるのでどんどん読めてしまいました。

今野敏 「転迷」

テレビドラマで先に見ちゃった話ですが、、好きなシリーズなので読みました。

登場人物の中で一番ドラマ版のキャストで再生されるのが、竜崎の妻・冴子役だった鈴木砂羽さん。
基本的に竜崎の家族は、自宅のようすも含めてドラマの映像で浮かんできました。何でだろ。
警察署や警察の面々はそんなでもなかったんですが。

前もってドラマで予習してあったおかげか、複雑な話ですがすらすら読めました。
特に、終盤に色んなピースがうまく嵌り始めてから事件解決までの気持ちよさ!
いつも通りの整理された読みやすい文体のおかげもあり、週末2日というか1日半くらいで読めました。
続編も読みたい〜。

宮尾登美子 「序の舞」

宮尾登美子さんの「序の舞」本屋さんが好きでよく行くんですが、置いてなかったんでAmazonで注文しました。

日本画家、上村松園をモデルにした女性の一代記。
女性が画家を志すということ自体が非常識とされた明治初期に、強い信念で画家の道を志した津也と、彼女を支え続けた母、勢以。
勢以は未亡人ながら女手一つで茶葉屋を切り盛りして二人の娘を育て上げた、それだけでも大変なことなのに、娘津也が思うままに絵を描けるよう環境を与え、火の粉のようにふりかかる世間の中傷から娘を守り続けた母の強さ。
休みなくスケッチに出かけるなど一年中絵のことだけを考え続け、画塾では女だからという理由で一番後ろに静かに控えているものの、絵に対する情熱は人一倍の津也。
その分、絵以外のところではひどく世間知らずというか脇が甘いというか、読んでいるこっちのほうが「つうさん、それはあかんえ!!」と(京都弁がうつって)止めたくなることもしばしば。
それでも、何度も挫折から立ち直り、その度に絵の世界が深まり、他の誰とも違う、自分だけの美人画の世界を築き上げます。

明治・大正の京都の街中の習俗、子を思う母の気持ち、男性社会でもがきながら成長する主人公。
最終章は涙涙で読み終えました。

ちょっと違うけど、朝ドラの「カーネーション」が好きな人は読んでみてほしいな。

乃南アサ 「一番長い夜に」

芭子ちゃんと綾さんのシリーズの完結編。
この二人のシリーズを読んでて引き込まれるのは、季節感があること。
店先に並ぶ品物や晩御飯の献立、自転車を押して歩きながら吐く意気の白さや、窓辺に射す光などなど。
それらのおかげで、芭子と綾香の間にある親密さがそのまま読者が二人に感じる親近感になっていると思います。

ご存知の通りこのシリーズは「いつか陽のあたる場所で」の名でテレビドラマ化されました。
ドラマのほうは、オリジナルの登場人物がいたりストーリーも途中からオリジナルになものになったりしましたが。
小鳥のように怯えて暮らしていたけど、徐々に強さを身につけてゆく芭子役の上戸彩さん。
重い過去を背負いながら明るく生きようとする綾香役の飯島直子さん。彼女から漂ってくる母性が、綾香の過去をよりリアルで重いものにしていたと思います。
とにかく主演のふたりが素晴らしかったので、本作も二人の女優さんのイメージで読みました。

本書の後半で芭子は震災に巻き込まれるのですが、彼女が見聞きしたもの、彼女が感じたもののすべてがあまりにもリアルで、乃南先生は相当な量の取材を重ねられたんだなと思ったら、あとがきを読んでびっくり。当日の芭子の行動、見聞きしたことは、ほぼ全部、乃南先生が経験されたことだったとのこと。
その日にかぎって、ってこと、本当にあるんですね。
3.11の記録の一つとしても大切な1冊になりました。

シネマ歌舞伎 「大江戸りびんぐでっど」

月イチ歌舞伎で「大江戸りびんぐでっど」!
地元の映画館での上映はないものの、ちょうどその時期に上京する用事があったので、見ることができました。

宮藤官九郎さんの作・演出による本作は、くさや汁を浴びた死人が"存鼻(ぞんび)"になって生き返る、ぞんびの派遣会社の話です。
と、さらっと書いて大丈夫なんだろうか、、


テンポよくて面白くて、歌舞伎座で上演された2009年当時すごくタイムリーだった派遣の話だし(私が派遣社員やってた)、勘三郎さんにも三津五郎さんにも小山三さんにも会えたし。
染さん七さん綺麗だし。勘九郎さん(当時勘太郎さん)の肩から二の腕かっこよかったし。


クドカンや役者たちが高みから「ぞんび」の「はけん」を見下して笑い者にしているようで不愉快、というレビューを見つけました。
私が感じたことは違ってて、クドカンとかはむしろ「ぞんび」に共感している立場なんじゃないかなと。
安定した立場は約束されないとことか、批判にさらされるときも個人で受けないといけない厳しさとか。
ぞんびにして見れば「はけんだはけんだオイラははけんだ」意気揚々と踊り出すとこなんかはスカッとしていいじゃないか。したたかでいいじゃないか。
弱い立場の人(ぞんび)は、他人に勇気や感動を与えるために存在するわけじゃなし、グロくてもいいじゃないか。
半助が実は... というのはその辺で見る側に「あなただって実は」と投げかけたかったんじゃないかな。
違うかな。

吉田都 x 堀内元 Ballet for the Future

ずっと大好きな吉田都さんのバレエを見てきました。
それもまさかの地元金沢で。
私自身は最近あまり生でバレエを見ておらず、久しぶりに見たらやっぱりバレエっていいなあ... と大感激しました。

バランシンにに認められ、NYCBでプリンシパルになり、現在はセントルイス・バレエ団で芸術監督も務める堀内さんだけあって、金沢に居ながらにしてアメリカの風を感じられるような、軽やかで華やかな公演でした。
とにかく構成がお見事! 作品の世界にどっぷり浸かることができました。

まず最初は、バランシンの作品で、Valse Fantaisie。
ロマンチックチュチュとグリンカ室内楽というクラシックな組み合わせで、美しいし楽しいんだけど途中からなんか発表会みたいな雰囲気に、、いかにもバランシンという感じなんですけど。チャイコフスキー・パドドゥは好きなんですけど、、

というタイミングで2曲目は堀内さんの作品、Attitude。
これがカッコよかった! シャープで幾何学的な感じの踊りで無機質というか、フォルムの格好よさが前面に出てて、「待ってました!」という感じ。

次はうって変わって叙情的なLe Reve。こちらも堀内さんの作品です。
天窓から射す光の中に女性が一人たたずんでいるところから始まって、男女の踊り、群舞と広がっていきます。
途中で照明が暖色系に変わり、踊りも暖かい感じに変わるところがあって、その切り替わるところがたまらなく好きでした。
最後はまた女性が一人たたずむところで余韻を残して終わります。

その次のPandora's Boxもまたガラっと雰囲気が変わって、今度は男女2人の情熱的な踊りです。
ダンボアという人の振り付けで、音楽はシューベルトって(プログラムに)書いてあるんだけど、今思い出すとラテンのイメージしかないw
お衣装もそんな感じだったし。

と、コンテンポラリー作品が続いたところで、一部の最後はクラシック作品。
おなじみドン・キホーテです。
加治屋さんのキトリが可愛くてカッコよかった! 以前、ローザンヌ・ガラで見たときも(チャイコで)華奢で綺麗だったんですが、キトリのほうが似合う!
明るく粋でカッコよくて愛らしくて、キトリのイメージそのものでした。


ということですよ。ハイ。

休憩を挟んで第2部は、また堀内さんの作品、La Vie。
群舞が楽しい。
ここは金沢なのに、8月も終わりに近づき秋の気配すら漂ってるのに、ここはアメリカ、今は夏の宵、と感じることができるような。
軽くて楽しくて、長いのに飽きなくて、むしろずーーーっとこの世界に居たいと思うくらい。
都さんが素敵すぎて。


大感激でした。
都さんが踊ると、バレエのテクニックを全く意識しなくなるというか、ジュリエットならジュリエットが、金平糖なら金平糖の精がいるようにしか感じられないんですよね。
今回もそうで、役を演じている訳ではないけど音楽と光と踊りそのものを見ている感じ... えーと、つまり振り付けを完璧に自分のものにしているということなんでしょうけど。

全体の雰囲気としては、昔みたアレッサンドラ・フェリの引退記念ガラに似ているような。
結構前のことなんで、ほんとに似ていたかは定かではないんですが、これがアメリカふうということなんでしょうか。
今回はガラと違って群舞も楽しめたし(群舞好きなんです)、とても楽しい公演でした。

しつこいですが、これが地元で見られるとはねー。しかも結構よいお席でした。
あ、音楽は録音だったんですが、この音質がイマイチだったのは残念でした。
本多の森ホールの設備のせい?!

「ぶどうの木」でルビーロマンパフェ食べてきました。

話題のルビーロマン
でもお高いんでしょう?
今年は初値で100万円つきましたから。

そんなルビーロマンが2粒入ったパフェが1350円で食べられると聞いて、久々にぶどうの木の本店に行ってきました。

daichiさん(@4daichi14)が投稿した写真 -


駐車場のぶどう棚は早くもたわわ!

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いいお天気だったので天井がオープンになっていました。

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これがルビーロマンパフェ!

初めて食べましたが、ほんとに大きくて一口じゃ無理。
そして甘かった。
一緒に入っていた他のぶどうも美味しかったです。

今年は9月13日まで。
ぶどうの木のほか、ニューグランドホテル、ANAクラウンプラザホテル金沢、メープルハウス、ミュゼ ドゥ アッシュでもそれぞれオリジナルのパフェが食べられるそうですよ。
http://kanazawabiyori.com/editors/2015/08/2567.html