乃南アサ 「風の墓碑銘(エピタフ)」

凍える牙→花散る頃の殺人→鎖→未練→嗤う闇と、ずっと読んできた
女刑事・音道貴子シリーズ最新作の、待ちに待った文庫化。
さっそく読みました。

風の墓碑銘(エピタフ)〈上〉―女刑事音道貴子 (新潮文庫) (2009/01/28) 乃南 アサ 商品詳細を見る

風の墓碑銘(エピタフ)〈下〉―女刑事 音道貴子 (新潮文庫) (2009/01/28) 乃南 アサ 商品詳細を見る

警察小説なんですが、このシリーズは主人公の音道貴子が魅力的。
自分と同年代ということもあり、何気ない場面に非常に親近感を覚えます。風呂上りに缶チューハイ開けてるところとか。周りの人間関係に悩むところとか。
生真面目で努力家、目立つスタンドプレーとは無縁の彼女がひたむきに事件を追う姿がとってもカッコイイのです。

「凍える牙」以来久々にコンビを組んで事件にあたるのは、女性蔑視の権化のような滝沢刑事。
ですが、彼は彼なりに貴子の刑事としての能力の高さを認めているのですね。
ハゲで脂っこくて、貴子がひそかにアザラシとあだ名しているオッサンなのですが、ベテランの刑事で、実はそんなに嫌な奴でもないんですが。

今回はこのコンビの取り合わせがうまくはまっていて、貴子の視点と滝沢の視点とで交互に書かれているのが、お互いの魅力をうまく出していて面白かったです。
この2人以外の登場人物も、主要人物・脇役問わずしっかり書き分けられていて、ぐんぐん引き込まれました。
ほとんど2日で読み終えてしまいましたし。しかも余韻に浸りながら下巻は2回続け読み。

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