読んだり食べたりした記録

旧ブログ「おやつ、読書・・・ときどきバレエのこと。」

宮部みゆき 「名もなき毒」

第41回吉川英治文学賞受賞作、「名もなき毒 -nameless poison」。
お盆休みの後半に読みました。

名もなき毒 (カッパ・ノベルス)名もなき毒 (カッパ・ノベルス)
(2009/05/21)
宮部みゆき

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宮部みゆきさんは文章がやさしくて、テーマがするどくて、好きです。
本作は「毒」がキーワードになっていますが、毒薬や化学物質から、人の心に潜む悪意や、悪気がなくても人を怒らせたりする隠れた「毒」まで、いろいろな毒にまつわるエピソードが散りばめられています。
家族を大切に思い、真面目に働いているだけのつもりでも、どこからともなく忍びよる「毒」。
見知らぬうちに心の中に巣食っていた小さな「毒」。

「普通の人」と罪を犯す人の境目は何だろう?

作中に出てくる原田(げんだ)いずみというキャラクターが強烈。
まさに毒を撒き散らす存在なのですが、では彼女はなぜ毒を撒き散らすのか、何が彼女を苛立たせるのか、って考えさせられます。

読みごたえがあって、とても面白かったです。
最後ちょっと泣いてしまいました。
丘を越えて」の歌にのって。

ちなみに本作は「誰か―Somebody」の続編ですが、「誰か」を読んでいなくても設定とかは詳しく書かれていますし、分からないところとかはないと思います。
私は「誰か」も読んでいますがオチはすっかり忘れてしまい、「名もなき毒」を読み終えた今でも思い出せません・・・。

誰か―Somebody (文春文庫)誰か―Somebody (文春文庫)
(2007/12/06)
宮部 みゆき
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