森絵都 「風に舞いあがるビニールシート」
信念を貫くひとに憧れます。
自分が信念を持てない中途半端な人間だから。
この本に収められている6編の小説の主人公たちは皆信念を持ったひと達。
風に舞いあがるビニールシート (文春文庫) (2009/04/10) 森 絵都 商品詳細を見る |
どこか不器用で滑稽であったり、割に合わなかったり、苦しかったり。
それでも、彼らには羨望をおぼえます。
そこまではちょっと・・・と眉をひそめるのは、自分にないものを持ってる人への単なるやっかみからでしかありません。
読んでいて何度も目頭を熱くしました。
ところで、この人の本は初めて読んだんですけど、お話ごとに文章の質感が違ってて面食らいました。
うまいなーと思ったわけですが。
1冊で何度も美味しい。
イメージどおりだったのは「器を探して」、「守護神」、「ジェネレーションX」。
古風な男性作家の文章みたいだ、と思ったのは「鐘の音」。
「犬の散歩」の冒頭も一瞬男性の筆によるものかと思いました。
表題作の「風に舞いあがるビニールシート」は今春NHKでドラマ化されました。
番組サイト:http://www.nhk.or.jp/dodra/kaze/index.html