読んだり食べたりした記録

旧ブログ「おやつ、読書・・・ときどきバレエのこと。」

東野圭吾 「卒業」

加賀恭一郎シリーズの出発点、「卒業」を読みました。
加賀が刑事になる前、大学生だった頃のお話です。

卒業 (講談社文庫)卒業 (講談社文庫)
(1989/05/08)
東野 圭吾

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このシリーズ、時間軸を無視して読みたいと思ったものから好き勝手に読んでますが、それぞれの作品が独立していますから、特に問題ないみたいです。

翌年3月に卒業を控えた大学4年生のグループ、彼らは高校時代からの付き合いで、お互いに親友と言っていい間柄なんですが、仲間の1人が死んだとき、最初はそれが自殺なのか他殺なのかが特定されません。
そんな時、ああ、親友だと思っていたのに、私は彼女のこと何も理解してなかったんだ、と虚しい気持ちになるヒロインの沙都子たち、友人とは?とこちらも考えさせられます。

在学中には無我夢中だったことも、過ぎてしまえば単なる通過点でしかなかった、その境目である「卒業」をタイトルにしてるのは成る程ーと思います。

この話に出てくる女子大生たち、なんだか聖子ちゃんカットでもしていそうなイメージで読んでたんですが、最初に単行本で出たのが1986年とのことで納得。
(聖子ちゃんカットが流行ったのは実際はさらにもう少し前ですけどね)
彼ら・彼女らの高校時代の恩師である南沢先生がとても素敵な先生でした。

ところで。
加賀が藤堂の研究室を訪ねる場面、藤堂が加賀にインスタント・コーヒーをいれてあげる場面があるんですけど、ガリレオシリーズでもありますよね。
工学研究室では来客にインスタントコーヒーを出すしきたりでもあるんでしょうか?

密室のトリック、茶道の雪月花之式でのカードトリックなど、推理小説の面白みもありましたし、登場人物の心理とか動機とかを読み解いていく楽しみもある作品でした。