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読んだり食べたりした記録

旧ブログ「おやつ、読書・・・ときどきバレエのこと。」

宮尾登美子 「成城のとんかつやさん」

新聞や雑誌に寄稿されたエッセイをまとめた1冊。
表題作の「成城のとんかつやさん」をはじめ、多くの作品がほんの数ページの短さ。
きびきびとした文体で日常の楽しみなんかを綴ってあります。


成城のとんかつやさん―記憶の断片 (新潮文庫)成城のとんかつやさん―記憶の断片 (新潮文庫)
(2000/05)
宮尾 登美子

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ご自身の生い立ちや若い頃の思い出話には、以前大いなる感動をもって読んだ「櫂」、「春燈」、「朱夏」、「仁淀川」の世界がよみがえります。
また「寒椿」の後日談というべき随想には、作品の理解もいっそう深まって感動を新たにしました。
それから海外を旅された旅行記など、どれも、長編小説でのあの流れるような流麗な文体とはひと味違ったさばさばとした勇ましい(?)文体は、ちょっと意外でもあり、筆者の人となりを身近に感じられるようでもありました。

最後のほうにある「仁淀川と暮した二十年」はとにかく名文!
クラシック音楽で言ったらスメタナの「モルダウ」のような(?)。
何気ない随筆でこれだけ感動できるのは、今まで読書を通じて宮尾登美子さんの生い立ちや人となりに触れてきたからかも。