読んだり食べたりした記録

旧ブログ「おやつ、読書・・・ときどきバレエのこと。」

乃南アサ 「ボクの町」

「ボクの町」読みました。

ボクの町 (新潮文庫)ボクの町 (新潮文庫)
(2001/11)
乃南 アサ

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主人公は見習い警察官、高木聖大くん。
警察手帳にプリクラを貼っていて怒られるような男の子です。

ドジでパッとしなくても、真面目でひたむきに頑張っているお巡りさんのお話なら、爽やかだし、応援もしてあげたくなるんですけど...
さすが乃南さんの小説、そんなありがちな設定ではないんですね。

警察手帳にプリクラのエピソードからも分かるように、自覚が無い子なんです。
警察官としても、いち社会人としても。
だいたい、人の話を聞かないし、すぐにふて腐れるし。

お話の中の主人公だから面白いなーと思って読めますが、実際にこんな後輩が入ってきたら、さすがにイライラさせられるでしょう。
でも、この小説に出てくる先輩や上司たちは、時にカミナリも落としますが、基本的には聖大くんを見捨てたりせず、広い心で見守ってあげてるんですよね。
こういういい人たちが出てくる小説って、読んでるだけで心が洗われるというか、安心します。

さて、主人公の聖大くんは、最後の方で警察官としての職務に目覚めるわけですが、そこまでの過程を読んでて、自分が社会人になったばかりの頃ってどうだったかなーと思い起こしたり。
「子供(学生)」から「社会人」に生まれ変わる時に、揺れる気持ちを味わった人は多いのではないかな。
就職したらイキナリ「社会人」ではなく、色んな人と出会ったり、色んな経験をしたりして、社会人になってゆくわけですね。

あ、聖大くんのシリーズで「駆けこみ交番 (新潮文庫)」というのもあるらしい。
探してみましょう。