読んだり食べたりした記録

旧ブログ「おやつ、読書・・・ときどきバレエのこと。」

K-BALLET COMPANY 「海賊」

熊川哲也さん率いるK バレエ カンパニーの大阪公演に行ってきました。
熊川さんもK バレエも、生で見るのは初めてです。

演目は「海賊」。
会場の梅田芸術劇場は比較的小ぶりなホールでステージも近いのですが、私の席は2階の下手側。。
素敵な跳躍の数々を上から見下ろす形になったのが残念。

幕が上がると、船に乗った海賊の男たち。
他の船から略奪をしながら大海原を進みます。
が、突然の嵐に海賊船は難破。
海賊たちはとある海岸に打ち上げられます。

そこに現れたのはギリシャの娘たち。

グルナーラ役の松岡梨絵さんは、全編を通して抑えた表現ながら超絶技巧をさらっと決めているのがすごい。

グルナーラに続いて現れたのはメドーラ役の浅川紫織さん。
溌溂とした跳躍(変則パディシャ?)でステージに現れた瞬間、この人が主役だ!って分かりました。
健康的な魅力があって華のある踊り手さんだと思いました。
こういう陽性のオーラがある人っていいですね。
2階席にいても元気をもらえました。

娘たちを金持ちに売り払う奴隷商人ランケデムには橋本直樹さん。
スマートでかっこいい踊り手さんでした。
あまり悪人オーラは出ていませんでしたが・・・アリ役の熊川哲也さんとの踊り対決(みたいな振りになってたとこがあったんです)はエキサイティングで見ごたえがありました。
もちろん熊川さんのほうが1枚上手でしたけど。

海賊は奴隷商人からメドーラたちを救い出し、洞窟で宴を始めます。

娘たちによるパ・ド・トロワは、全体の中では目立たなかったですけど、なかなか見ごたえがありました。
3人とも(2階席から見ている分には)高校生といってもいいくらい華奢で可憐。
特に第1ヴァリエーションの東野泰子さん。
今度の「眠り」でもオーロラ姫を踊られるそうですが、雰囲気ぴったりだと思います。

そして、コンラッド、アリ、メドーラの3人で踊られる、お待ちかねのグラン。

浅川=メドーラがとってもきれいでした。
特に高くリフトされているとき衣装もキラキラしてて華やかです。

熊川哲也さん扮するアリは。。。もう。
普段は海賊コンラッドの忠実な手下で、細々としたとこまでよく気がつく働き者(甲斐甲斐しかったですよ、ええ)なんですが、踊りとなればKバレエカンパニーに君臨する帝王!の姿を隠そうともしません。
2階席から見下ろしていたせいで跳躍の高さは実感できませんでしたが、回転がすごかった!
何回転かも分からないトゥールをしながら軸足をプリエしていきながら両手を広げ背中を反らしていく、という今まで見たことないテクニックがあり、会場からはどよめきが起きていました。
私もため息の連続。
あんなに回るのは他では事務椅子くらいしか知りません。

海賊の首領でメドーラと恋に落ちるコンラッド役にはS・キャシディさん。
私はコンラッドの位置づけというかキャラクター設定ががよく分からないんですけど、いわゆる王子ではないですし、かといって海賊のボスだー、というワイルドな悪も感じられない・・・キャシディさんも何か存在が薄かったような。。

ビルバント役にはビャンバ・バットボルトさん。
この人は悪のオーラちょっと出てたかも(笑)
最後に裏切る人だよね、って見てて分かりやすかったです。

残念だったのは、花園の場面がない演出だったこと。
バラの花に囲まれて嫣然と微笑む浅川=メドーラを期待してしまっただけにがっかり。
ABTのDVDとか見て予習してったのは余計だったかも。

全体として、男性ダンサーの見どころが多い、エキサイティングなバレエでした。
舞台装置も豪華で見ごたえがありましたし!