江國香織 「がらくた」
江國香織さんの島清恋愛文学賞受賞作品、「がらくた」読みました。
タイトルからしていいですねー。
アウトローな感じがして。
がらくた (新潮文庫) (2010/02/26) 江國 香織 商品詳細を見る |
江國さんの小説で好きなのは「神様のボート」、「薔薇の木 枇杷の木 檸檬の木」、「スイートリトルライズ」、「流しのしたの骨」、「間宮兄弟」・・・と挙げるときりがないのですが、この「がらくた」も好きな作品の仲間入りです。
45歳の翻訳家、柊子の物語と15歳の美海の物語が交互に語られるのですが、2人とも小さなことでぎゃあぎゃあ言わないし、自分というものを(多少個性的であれ)しっかり持っているし、憧れてしまいます。
夫を愛しすぎるあまり、瓶詰めのジャムみたいになっている幸せな柊子さん。
でも柊子さんの耽溺っぷりは文学の香りがしてむしろ好きだな。
対照的に美海は瑞々しい果実のよう。
江國さんの小説に出てくる女の子って、正しくリアルに少女!っていう感じがして、懐かしくも切なくなります。
それから美海がスタンプを押す場面の「つた、」っていう擬音も好きでした。
「私の押すスタンプの、つた、と聞こえるかすかな音とかが際立つ。」
その他の登場人物も、魅力的なのはみんな女性たちばかり(桐子さん、藤田さん、美海の母親、さやかさん...)で、これは恋愛小説というよりも女性小説といったほうがよいのでは?
唯一、柊子さんの夫の原だけが、すべてを超越した神的存在(笑)ですが。
でもなぜか俳優の草刈正雄さんのビジュアルが浮かんでしまうんですよね・・・これから読む人、ごめんなさい。