宮部みゆき 「小暮写眞館」
文庫化まで待ちきれず、宮部みゆきさんの新刊を買いました。
最後まで読んでからこの装丁を見たら、泣く〜。
小暮写眞館 (100周年書き下ろし) (2010/05/14) 宮部 みゆき 商品詳細を見る |
「名もなき毒」のような、気持ちの優しい人たちの出てくる小説です。
ミステリーでは、ないです。
ちょっと不思議写真がでてきますが、ファンタジーやオカルトでもなく、家族小説です。
「模倣犯」のような凶悪犯罪をテーマにした小説でも、必ずささやかな日常を大切に生きている少年や女性や老人が出てきますし、そういう宮部さんの小説の素敵なところがあふれている本でした。
主人公の男の子(花ちゃん)は物語の冒頭では高校1年生になったばかり。
そして一家は古い写真館を改装した家に引っ越してきたばかり。
ひょんなことから花ちゃんは「心霊写真バスター」の異名をとることになり・・・
自分も20年前高校1年生でしたが、花ちゃんや友人たちの学校生活をのぞいていると何となく当時が思い出されます。
花菱家(両親と小学生の弟と花ちゃん)が互いを思いやりあう優しさにちょっと切なくなります。
あと、高校生の男の子の視点で書かれているということで、軽妙な文章の端々に花ちゃんの鋭いツッコミが混じってて、読んでて楽しい1冊でもありました。
最終章は涙涙・・・もったいないのでネタバレはしません。