森見登美彦 「新釈 走れメロス 他四篇」
と、夏休み読書の王道をいくラインナップ。
新釈 走れメロス 他四篇 (祥伝社文庫 も 10-1) (2009/10/15) 森見 登美彦 商品詳細を見る |
すべての作品を舞台を現代の京都の大学(京都大学)に移し、登場人物も一部かぶったりして連作小説ふうになっています。
一番すごいと思ったのは最初の「山月記」で、「- をかたわらに臥遊するのを愉しみとし...」、「俺には自分が名を成すことがありありと分かっている。...」、「性狷芥で自ら恃むところすこぶる厚い斉藤秀太郎は...」と、そこかしこに原文が引用されていますが、すっかり森見さんの人を煙に巻くような文体になじみきっているので、それを見つけてくすっと笑えるのが楽しい。
ほかの短編の元ネタは山月記ほど読み込んだことないのでわかりませんが。
とりあえず青空文庫で「藪の中」と「桜の森の満開の下」は読み返しました。
どの作品も、元ネタの小説のエッセンスがうまく森見ワールドに昇華していて、単なるパロディじゃない深みがあって面白かったです。
本好きさんにおすすめ。