柴田よしき 「小袖日記」
現代のOLが平安時代にタイムスリップし、源氏物語のネタ提供者として様々な事件に遭遇する、という小説を読みました。
ネタといっても主人公が現代で読んだ源氏物語のあらすじを平安時代の作者に教えた、とかではないです。
小袖日記 (文春文庫) (2010/07/09) 柴田 よしき 商品詳細を見る |
平安時代にタイムスリップし、「小袖」と呼ばれる女性の体に入り込んでしまった「あたし」は、目を開けるや、周囲の女性たちの顔をまともに見てしまい、
「おかめ!おかめの大群!」と心の中で叫んでしまう。
この「おかめ」には笑ってしまいました。
「御簾がくるりと巻き上げられた。そこに座っていたのは、上等のおかめ。」とか。
脳内に「おかめ納豆」のパッケージがちらついてしょうがない(笑)
お話のほうは、源氏物語成立の謎にせまる、といった歴史ミステリーではなく、どっちかというと史実とはパラレルワールドのようになっていて、例えば源氏物語の中では物の怪のしわざとされていた出来事には意外な真相があった・・・とか、そういう感じのミステリー仕掛けです。
(違いをうまく説明できませんが)
当時の女性の哀しみ、現代にも通じる普遍的な哀しみも描き出つつ、でもやっぱり楽しい本でした。