読んだり食べたりした記録

旧ブログ「おやつ、読書・・・ときどきバレエのこと。」

今野敏 「隠蔽捜査」

うーん、と唸ってしまった。
こんなヒーロー、初めて見た。

隠蔽捜査 (新潮文庫)隠蔽捜査 (新潮文庫)
(2008/01/29)
今野 敏

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最初の数ページで受ける主人公・竜崎の印象は嫌ったらしい奴!
警察庁長官官房総務課長である彼は東大卒のキャリア官僚。
エリート意識もはなはだしく、出世してなんぼ、東大以外は出ても意味がない・・・などなど。
裏表紙には「変人」と思われている、とありますが、変人とかいう微笑ましい称号は似つかわしくなく、単に嫌なやつじゃないの?

と、思わせておいて、

読み進めるにつれて、彼の真っすぐさが気持ちよく、今どき真っ当な正論だけで突き進んでいく人も珍しいし、爽快感すら覚えるようになりました。
これは作者が上手いってことだと思います。
だいたい、主人公に後ろ暗いところがあって、いつバレるか、とヒヤヒヤしながら読むたぐいの犯罪小説が苦手なんですけど、これは正反対!

そして竜崎の奥さんが脇役ながらあっぱれ。
陰ながら竜崎を支えている目立たない存在ながら、実はさっぱりした性格で男気のある人。
理想の奥さんってこんな感じなんだろうなー。

それから竜崎と、彼の幼馴染である警視庁刑事部長の伊丹の好対照も面白い。
映画化かドラマ化されるとしたら、この2人のキャストは誰がいいだろう。。と空想するのも楽しい。
え、もうドラマ化されてたんですか?
でも自分のイメージで読みたいからキャストは見ないでおこう。

実はもう続編の「果断―隠蔽捜査〈2〉」を読み始めているのですが、「隠蔽捜査」を読んだ後によむと、今度はもう冒頭からクスっとさせられるところ満載で、なかなか楽しく読んでます。