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読んだり食べたりした記録

旧ブログ「おやつ、読書・・・ときどきバレエのこと。」

宮尾登美子 「きのね」

読んだ

宮尾登美子さんの「きのね」を読みました。


きのね〈上〉 (新潮文庫)きのね〈上〉 (新潮文庫)
(1999/03/30)
宮尾 登美子

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きのね〈下〉 (新潮文庫)きのね〈下〉 (新潮文庫)
(1999/03/30)
宮尾 登美子

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面白かったので2回読みました。
最後の檀ふみさんの解説がまたよくて、読み終えたところなのにまたすぐ最初から読み返したくなる、そんな解説でした。
1回目は特に予備知識のない状態で読んだので、2回めは作品のモデルとなった人々についてざっと調べてから読みました。

主人公の光乃は七代目竹元宗四郎のもとに女中として奉公に上がり、やがて宗四郎の息子、雪雄付きとなります。
竹元宗四郎 → 松本幸四郎さん(当代幸四郎さんのおじいさま)ですね。
そして雪雄(芸名は松川桃蔵、のちに鶴蔵、玄十郎)は 市川團十郎さん(11代め)。

華やかな舞台の陰でたゆまぬ努力を続ける歌舞伎役者の暮らしも去ることながら、数々の苦難に耐えながらひたむきに尽くす光乃の頑張りにものすごく感動し励まされました。
(それが1番の感動ポイントですが、感動エピソードを挙げるとネタばれになるのと、多すぎて書くのが大変なので割愛します)
同じく菊間家(竹本宗四郎家)に仕えている太郎しゅうの細やかな愛情にも胸が熱くなりました。
雪雄に対しての愛情はもちろんのこと、光乃のことも「野崎村」(光乃→お光→野崎村)と呼んでずっと気にかけ可愛がっている温かい人柄や「野崎村」のユーモアが、辛い場面もあるなかで救いになりました。

光乃には現代の感覚からしたら、そこまで耐え忍ばなくても... との声もありそうですが、家族とか血の繋がりを超えて互いを思い合って生きる人々が感動的でもあり、憧れをも覚え、またどう頑張っても自分には真似できそうもない崇高さに尊敬の念を禁じ得ません。

読んでいて辛かったのは歌舞伎役者が病気になる場面で、どうしても十二代目團十郎さんや十八代目勘三郎さんのことを考えては涙してしまいました。

余談ですが、美男で名高い十一代目はリアルタイムで存じ上げないため、雪雄坊ちゃまのビジュアルは終始当代海老蔵さんのイメージで読んでましたw