読んだり食べたりした記録

旧ブログ「おやつ、読書・・・ときどきバレエのこと。」

今野敏 「ヘッドライン」

「スクープ」の続編で、今度は短編集ではなくて、1冊で1つのお話です。


ヘッドライン (2) スクープ (集英社文庫 こ 28-12)ヘッドライン (2) スクープ (集英社文庫 こ 28-12)
(2013/04/19)
今野 敏

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「ニュースイレブン」遊軍記者の布施、布施の上司でデスクの鳩村、キャスターの鳥飼と恵理子、警視庁の部長刑事黒田と部下の谷口、新聞記者の持田、と個性的な登場人物たちの魅力がたっぷり味わえました。
というか、個性的なのは布施だけで、あとはこういう人いそうだなあ、とか、自分も同じように考えるだろうなあ、と共感できるタイプの人物たちですね。
今野さんの人物造形... またしても素晴らしい。
特に、身勝手な布施の扱いに悩む上司の鳩村や、布施に一目置いている黒田が、部下の谷口との関係性に悩むくだりの描写が読み応えありました。
読み終えてみれば被害者や犯人の描写はほとんどなく、事件を追いかけている人々の群像劇になっていたんですね。

そういえば巻末の解説が元NHKの記者であった池上彰さんで、「こんな記者いるわけないよ」「通常の刑事ではありえない」とバッサリ切り捨てながらも、自信の記者経験に照らして本作の面白さを解説されているのが何とも面白く、納得の解説でした。
(本編の後のあとがきや解説が面白いと何か得した気分になります。)