池井戸潤 「下町ロケット」
文庫が出ていたので年末年始に読もうと買ったはずが... ほんとに久しぶりの読書になりました。
下町ロケット (小学館文庫) (2013/12/21) 池井戸 潤 商品詳細を見る |
読み始めたら面白くてあっという間。
池井戸さんの小説っていつもそうですが、主人公の航平をはじめ、働く人々がそれぞれリアルに描かれていて、こんな人いるわーとか、こんな人が同僚だったらいいなーとか、話にすっかり入り込んで、一気に読みました。
特にメインバンクの元行員だった経理部長の殿村。
当初はどこかよそ者のように見えた彼が熱い一面を見せる場面は感動! 胸が熱くなりました。
(これから読まれる方、お楽しみに)
もちろん(?)ラストは感動しっぱなしだったんですけど、それ以外でもぐっと感動したエピソードが2つあって、ひとつは神谷弁護士の事務所を初めて訪れる場面。
段ボール1杯の資料は2日間でみっちり読み込まれ、無数の付箋が貼られていたという何気ない描写ですが、神谷弁護士の人となりがうかがわれます。
自分も仕事柄、資料を読まなくてはならないことがあるので、そういうところをきっちりできるという真っ当さに打たれました。
もう1カ所も似ているのですが、佃製作所の若手の工員が手作業で鉄板に穴を開ける技術、それが精密機械にも劣らない精緻さだったという描写。
どちらもそうですが、基本的なこと、シンプルなことがきちんとしていること、ささやかなことですが同じ働くものとして胸を打たれました。
もちろん悪役みたいな人も出てくるんですけど、ドラマ「半沢直樹」で会議机をバンバンやってた人の映像がどうしても浮かんでしまって、それは苦笑。
池井戸さんらしい、働く人が元気になれるエンターテイメントでした。