読んだり食べたりした記録

旧ブログ「おやつ、読書・・・ときどきバレエのこと。」

宮尾登美子 「序の舞」

宮尾登美子さんの「序の舞」本屋さんが好きでよく行くんですが、置いてなかったんでAmazonで注文しました。

日本画家、上村松園をモデルにした女性の一代記。
女性が画家を志すということ自体が非常識とされた明治初期に、強い信念で画家の道を志した津也と、彼女を支え続けた母、勢以。
勢以は未亡人ながら女手一つで茶葉屋を切り盛りして二人の娘を育て上げた、それだけでも大変なことなのに、娘津也が思うままに絵を描けるよう環境を与え、火の粉のようにふりかかる世間の中傷から娘を守り続けた母の強さ。
休みなくスケッチに出かけるなど一年中絵のことだけを考え続け、画塾では女だからという理由で一番後ろに静かに控えているものの、絵に対する情熱は人一倍の津也。
その分、絵以外のところではひどく世間知らずというか脇が甘いというか、読んでいるこっちのほうが「つうさん、それはあかんえ!!」と(京都弁がうつって)止めたくなることもしばしば。
それでも、何度も挫折から立ち直り、その度に絵の世界が深まり、他の誰とも違う、自分だけの美人画の世界を築き上げます。

明治・大正の京都の街中の習俗、子を思う母の気持ち、男性社会でもがきながら成長する主人公。
最終章は涙涙で読み終えました。

ちょっと違うけど、朝ドラの「カーネーション」が好きな人は読んでみてほしいな。