読んだり食べたりした記録

旧ブログ「おやつ、読書・・・ときどきバレエのこと。」

宮尾登美子 「蔵(下)」

蔵〈上〉」を読んだ後、すぐに続きが読みたい気持ち半分、楽しみをあとにとっておきたい気持ち半分で、数日ねかせてたんですが、昨日「蔵〈下〉」を読み始めるや、止まらなくなりあっという間に読了。


蔵〈下〉 (角川文庫)蔵〈下〉 (角川文庫)
(1998/01)
宮尾 登美子

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前半はあいも変わらず烈の健気な姿に涙しながら読んでいたのですが、途中からは純粋一途に夢を貫こうとする成長した姿がまぶしく見えました。

「烈はね、このごろ、よう考げるあんらろもね。
自分の不しあわせ悲しむよりは、しあわせらことを数えるようにしたあん。」

「烈は酒造りの三代目らすけ、蔵を閉めることはできね。」

本編の最後は温かい気持ちでまた涙涙。(←涙もろい)
さらに付け加えると林真理子氏の解説もよかったです。
「蔵」上下2巻を読み終えるということは「魂を探し求める巡礼の旅なのである。」と書かれているのは、まさにそのとおり!と膝を打ちました。
烈の父、意造は時に煩悩に流され、弱い面を見せながらも決して憎みきれない存在であり、むら、賀穂、佐穂、せきといった烈を取り巻く女性たちも、生き方は様々ですが、読者は「溢れるほどの愛情と共感を寄せている自分に気づく」という指摘も、その通りだと思いました。
林真理子さんの「解説」は蔵〈下〉 (中公文庫)に掲載されていました。