宮尾登美子 「寒椿」
引続き宮尾登美子さんの作品。
こういう作品を「女流文学」というのだろうなあ。
寒椿 (新潮文庫) (2002/12) 宮尾 登美子 商品詳細を見る |
芸妓子方屋で姉妹のように育った4人の女性たちの半生を、子方屋の娘の視点で辿るという、作者自身の出自とも無縁ではないお話です。
ということは「櫂 」、「春燈」、「朱夏」、「仁淀川」と続く「綾子もの」シリーズの続編と読めなくもないし、「岩伍覚え書」とも通じるものがあります。
(執筆順は「櫂」のあと1977年ということで、かなり初期の作品になりますね)
それにしても親が子を売って金を得る残酷さ、戦争の過酷さ、それらを受け止めて生き抜いていく女性たちの人生には圧倒されました。
もちろん、愛情を込めながらも彼女たちを美化するでなく、常に冷静な視点で分析を加えていく作者の筆力があってこその作品だと思います。