百田尚樹 「永遠の0」
「涙腺崩壊」という書店のPOPに引かれて買った本。
どうやら泣けるらしい・・・お手並み拝見。
永遠の0 (講談社文庫) (2009/07/15) 百田 尚樹 商品詳細を見る |
26歳の青年が、太平洋末期に特攻で亡くなった祖父について調査する、というお話です。
戦争中の祖父を知る人を訪ね歩き、彼らの話を聞くうち、一つの謎が浮上します。
「生きて帰りたい」「娘に会うまでは死ねない」
当時、誰もが心の底で思いながらも、声に出して言う勇気がなかった言葉です。
主人公の祖父である宮部は度々それらの言葉を口にしてきたのに、なぜ、特攻機に乗り込み、自ら命を落としたのか?
この謎解きを縦糸に、元兵士たちが証言する戦地での生々しい様子を横糸に物語は展開します。
戦争中の信じられない人命を軽視した作戦の数々。
内地の安全な室内で作戦を立てる(今でいう)キャリア組の軍人たちと、戦地では朝食卓を共にした戦友が、夕飯には未帰還である、ということが日常の兵士たち。
狂気以外の何者でもない特攻作戦。
なるほど・・・理不尽なことが多すぎて、涙なしにはよめません。
が、面白い本なんですよ。
一つはさきほど書いた、謎解きの興味。
もう一つは戦闘機による空中戦の場面。
スピード感があって、臨場感があって、思わずひきつけられます。
上手いなあ。
そして圧巻はラスト。
やっぱり涙腺崩壊しました。
(ネタバレになってしまうので、色々と感想はありますが、やめておきます)
2、3日で読める内容の本なんですが、最後、第11章から12章にかけては途中でやめることができなくて、泣きながら夜更かしして一気に読みきって、それから寝床に入ってもしばらくは物思いに耽ってしまい、なかなか寝付けませんでした。
戦争の怖さ理不尽さを余すところなく書き出しながら、ちゃんとエンターテイメント小説になっているところがすごい!
(いっつも本を読んでは泣いた、感動した、と言っていますが・・・)おすすめです。