乃南アサ 「いつか陽のあたる場所で」
乃南アサさんの「いつか陽のあたる場所で」、やっと買いました。
半日で読みました。
いつか陽のあたる場所で (新潮文庫) (2010/01/28) 乃南 アサ 商品詳細を見る |
刑期を終え、何とか自分の力で生きていこうとする日々を描いた4編からなる連作小説集(続編あり)が本書です。
裏表紙の紹介文にも「人物造形の達人が女の友情に斬り込んだ大注目の新シリーズ」とありますが、なるほど、罪を犯して服役していた過去を持つ女性、という一見共感を覚えにくい設定の主人公なのに、すっと入っていけます。
立場は逆だけど、「凍える牙」のシリーズの音道(貴子)刑事のときと似てるかも。
夕食の支度をする、風呂を沸かす、洗濯物を畳む・・・といった誰でもやっている日々の行為が、物語の本筋に関係はなくとも丁寧に描写されているからこそ、芭子や貴子のことも自然に自分と同じ目線で見ることができるのでは、、、と思います。
最初はなぜこの人がバカげた罪を犯してしまったのか、ちょっと不思議だったんですけど、読んでいくうちに、ああ、何か分かるかも・・・と思うようになりました。
そのほかの登場人物たちも、いい人、嫌な人、みたいな一義的な分け方はできなくて、一見残酷そうな人がささやかな優しさを見せたり、その反対のこともあったりで、読んでいても油断ならない(笑)
例の高木聖大巡査も登場しますよ。
シリーズ続編のほうはすでにハードカバーで出ているとのことで、文庫化が待ち遠しいです。
すれ違う背中を (2010/04) 乃南 アサ 商品詳細を見る |